始めに
先日福島県白河市に行った際、時間を見つけて白河小峰城に立ち寄りました。雨の日が続きていましたが、この日はとても気持ちのいい日でした。
今回は白河小峰城のご紹介を。
写真はおじさんが撮ったものなので、あまり写りがよくないものがあると思いますが、ご容赦を。
アクセス
白河小峰城はJR白河駅のすぐ近くにあり、電車でも車でもアクセスしやすくなっています。
電車 | 白河駅下車(新白河駅より3分) | 東北新幹線で新白河駅下車 JR東北本線に乗り換えJR白河駅から徒歩5分 |
自動車 | 東北自動車道 | 白河中央スマートICから6分 | 白河ICから11分
※駐車場は無料(普通車113台収容)
見学時間
城山公園 | 8:30~17:30(4月~9月) 16:30(10月~3月) |
三重櫓 | 9:00~17:00(4月~9月) 16:00(10月~3月) |
※12月29日~1月3日は休業
白河小峰城の概要
白河小峰城は白河市のシンボルです。白河駅すぐそばにあり、三重櫓がきれいにそびえたち、白河市内を一望できます。勿論、駅のホームからもきれいに見えます。
阿武隈川の南側、小峰ヶ岡と呼ばれる東西に長い独立丘陵を利用されて築かれた城郭です。
国指定の史跡で日本100名城の1つです。三重櫓は日本でも数少ない木造復元天守の一つであり1991年に復元されました。
その他の木造復元天守は、静岡県の掛川城天守(1994)、宮城県の白石城大櫓(1995)、新潟県の新発田城三階櫓(2004)、愛知県の大洲城天守(2004)があります。
他のお城の天守は鉄筋コンクリート造が多くなっていますので、珍しい復元天守です。
東北三名城の一つに数えられています。
歴史
興国・正平年間(1340~1369)頃、白河庄の領主・結城宗弘の嫡男親朝(別家小峰家を創設)の築城が始まりとされてます。永正年間(1504~1520)以降、一族に怒った内紛で小峰家が権力を掌握し、白河結城家を代表するようになると、本拠が小峰城に移ったと考えられています。
天正18年(1590)豊臣秀吉の奥州市沖によって白河結城家が改易され、以降40年にわたって白河は会津領となり、小峰城には城代が置かれました。
寛永4年(1627)、白河は会津藩領から離れて白河藩が成立します。現在目にすることができる石垣を巡らせた城跡は、初代藩主丹羽長重が幕府の命を受け改修したものとされ、梯郭式平山城の近世城郭として寛永9年(1632)まで約4年の歳月をかけ大きく改修したものです。
この大改修は、本丸・二之丸を総石垣で固め、三之丸も門の周辺部を石垣積みとしたもので、東北地方には数少ない随所に石垣を多用した特徴があります。
小峰城は丹羽長重とその子光重が在城した後、榊原家・本多家・奥州松平家・結城松平家・久松松平家・阿部家と親藩・譜代大名6家19代の居城となり、北東北の外様大名に対する江戸の防衛ラインの一端として「欧州のおさえ」の役割を担いました。
慶応3年(1867)、阿部家が棚倉に転封される白河藩は消滅して小峰城は幕府管理となり、翌年には戊辰戦争が勃発すると新政府の管理地となります。東北地方まで戦火が及ぶと、要衛の地である白河をめぐって欧州越列藩同盟軍と新政府軍が戦い、小峰城内の多くは消失しました。
しかし、平成3年(1991)に三重櫓、平成6年(1994)に前御門が発掘調査や江戸時代の精巧な絵図(「白河城御櫓絵図」)をもとに木造で忠実に復元され、往時を偲ばせています。
梯郭式(ていかくしき)とは
本丸の一方ないし三方を囲むように二の丸を置く配置です。本丸は中心ではなく片寄った位置になります。本丸の背後を川や断崖とすることが多く、これによって輪郭式のように四方すべてを囲まずとも防御が可能になります。
ただし本丸背後が城外に近くなるため、大砲の攻撃には注意が必要となります。
自然地形を応用することが多いため平山城や山城向きで、近世城郭の平山城の多くがこのタイプです。 例としては、弘前城、小田原城、岡山城などがあります。
JR新白河駅改札口を入ったところに、白河の歴史を紹介している看板があります。
そこには戊辰戦争の頃の奥羽越列藩同盟の説明や白河口の戦いについての記事が看板になっています。
白河小峰城の紹介
三重櫓
本丸の北東隅に立つ三層三階の櫓で、小峰城の中心となる最も規模の大きな櫓です。
高さが約13m、一階が約12m四方、二階が約8m四方、三階が約4m四方の正方形となっています。
外観は黒塗りの板をはった「下見板張」で耐久性が高いとされています。
北側には、張出の「石落とし」が設けられており、南側と西側にも張り出した土間が設けられ、西側の土間に出入口があります。
屋根に飾られる鯱は高さ約1.2mです。また三重櫓に使用した瓦は1万3千枚を超える膨大な数だったことが記録に残っています。
先にも書きましたが、平成3年(1991)に再建され、現在の三重櫓は木造復元天守です。
今回、天守には登りませんでしたが、ここから白河の町が一望できとても壮観です。
本丸御殿跡
本丸の平坦地には、御本城御殿(本丸御殿)と呼ばれる建物が存在していました。松平定信が藩主の時代の文化5年(1808)に作成された「白河城御櫓絵図」の中の「御本城御殿平面図」では、藩主の居城と政庁を兼ねていたと考えられます。畳数は707畳とする記録があり、かなりの大きさだったことがうかがえます。
現在は写真のように緑が一面に広がっています。
富士見櫓跡と雪見櫓跡
本丸御殿の南南西の位置に富士見櫓がありました。
また本丸御殿の北西の位置に雪見櫓がありました。
現在はどちらも碑がたっており、どちらも白河市内が見渡せます。
その他、本丸御殿の南側に月見櫓、東側に多門櫓があったとされています。またここには「丹羽長重公築城址」の碑が建っています。
この2つの櫓跡の間で明治20年(1887)8月19日、皆既日食を観測しています。
明治政府は国家的事業と位置付け、白河や新潟の燕三条などで観測を実施しました。その白河での観測の場所がこの地でした。
皆既日食帯のほぼ中央に位置した白河は、前月に鉄道が開通したことで東京まで6時間半で結ばれ、最新機材での日食の連続撮影を企画したアメリカ・アマースト大学(マサチューセッツ州)の教授・D.P.トッド博士も白河を観測値と定めました。
皆既日食当日、トッド博士のカメラは、悪天候で数枚の部分色を撮影できたのみでしたが、観測に協力した白河の数学者市川方静は別の場所に弟子を派遣し、コロナの一部観測に成功しています。当日は臨時列車が運行され、白河には各地から多くの見物人が集まったと伝えられ、政府高官や阿部正功(旧白河藩阿部家の当主)も訪れました。
前御門
本丸御殿の東側で三重櫓のすぐ南に位置します。三重櫓の再建のあと平成6年(1994)に再建されました。
太鼓門跡
太鼓門は二之丸の南側入り口にあたる門で、三之丸からの土橋を渡った所に設けられていました。
高さ約3.8mの石垣の上に櫓を渡した櫓門で、規模は高さ約10m、間口が約10mでした。
文化5年(1808)につくられた「白河城御櫓絵図」の中の「太鼓御門建絵図」によれば、柱には槻(欅のこと)が用いられ、屋根は瓦葺きの切妻屋根となっています。
他の城郭の太鼓門(櫓)では、藩士の途上合図などに鳴らす太鼓を置いた例があり、小峰城でも同様に太鼓が置かれ、ここで太鼓を鳴らし合図をしていた可能性が考えられます。
清水門跡
本丸の正面口にあたり、二之丸と本丸をつなぐ重要な門です。高さ約4.5mの石垣の上に櫓をわたす「櫓門」の形式です。
瓦葺きで高さは約11m、間口は約13mありました。現在は礎石が残っているのを確認することができます。二階櫓部分へ出入りすると思われる石垣両側の土手も残っています。
柱には太鼓門と同様に槻(欅のこと)が使用され、太いものでは2~3尺(0.6~1mほど)角の木が使われていました。場内の門の中で最大の太さとなっています。それだけ清水門が重要な門だという事がうかがえます。
桜ノ門跡
桜ノ門は清水門から左側に入った場所にあり、本丸御殿の南側入り口にあたる門です。
門を入った先は御殿の庭部分に通じており、藩主の居住区に近く、藩主などの出入り口に利用された門だと思われます。清水門と同じように石垣の上に櫓を渡す「櫓門」の形式で、門の高さは約7mでした。桜ノ門の付近に桜の木が数本植えられていたことが分かる絵図があり、門の名前はこの桜から付けられた可能性もあります。
藤門跡
本丸御殿の南東、二之丸跡の東の場所にあった門です。今では城山公園の入り口の門になります。
ここからとてもきれいに三重櫓と前御門が一緒に見えます。
二之丸跡
現在は城山公園(白河小峰城址公園)の芝生広場となっています。イベントなどあるとここで開催されます。
毎年春に開催される「白河小峰さくらまつり」では、川越藩火縄鉄砲隊の演武やステージイベント、市内の美味しいものの物品販売や物産展もあります。
内堀跡
二之丸跡の西側に内堀の跡が発掘されました。現在は芝生が生えており、くぼんだ形が特徴です。
石垣
平成23年(2011)の東日本大震災で石垣は大きく崩れてしまいました。10か所にもわたったそうです。日本大震災における文化財の被害としては最大のものとなりました。そこで崩落した石垣について平成25年(2013)から復旧工事が開始されました。崩落した石一つ一つに番号をふり、文化財としての調査を行い「石材カルテ」を作成して、崩落前の写真や資料を基に基にあった位置に戻していきました。崩落した石は7000個あまり。文化財なので、石垣が築かれた江戸時代の工法に忠実に復元しました。復旧工事は5年の歳月をかけ平成30年(2018)に完了しました。
小峰城歴史館
開館時間 | 9:00~16:30(入館16:00まで) |
休館日 | 祝日の翌日 年末年始(12月28日~1月3日) 展示替え期間 | 毎週月曜日(祝日の場合は開館)
入場料 | 20名以上の団体料金 一般250円 小中高生50円 障がい者50円 | 一般300円 小中高生100円 障がい者100円
白河小峰城について、楽しみながら知ることができる総合ガイダンス施設です。
パネルやジオラマ、モニター映像などがあり、小峰城の歴史や文化を分かりやすく解説してくれます。
また古文書や美術工芸品なども展示されており、当時の様子を垣間見ることができます。
詳細は小峰城歴史館のホームページを参照ください。
その他詳細は以下の公式ホームページを参照ください。
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